日産自動車【7201】V字回復! 今後の株価上昇が見込めるか?
ここ数年の業績低迷から3期ぶりに黒字化した日産自動車。V字回復した理由と今後の業績見通し、株価の動向について2022年3月期決算から検証します。
- 販売台数は微減となったが、車両単価の上昇により売上高・収益性が改善
- 販売奨励金の圧縮、固定費の削減が営業増益につながった
- 米国市場での好調な業績が全体をけん引した
V字回復した理由
①車両単価の上昇
V字回復した一つ目の理由は車両単価の上昇です。積極的な新車種投入によりブランドや付加価値の向上に注力し、これまでの値引き販売を改めた結果、1台あたりの売上高が2019年3月比で+19%上昇しました。
②販売奨励金の圧縮、固定費の削減
これまでの赤字の大きな要因であった販売奨励金(値引きの原資)については、新車投入の効果や北米市場の需要拡大により大幅に圧縮できました。(販売奨励金を元手にディーラーが値引きをしなくても車が売れるようになりました)
固定費についても、これまでの過剰な生産能力を減らし、商品ラインナップを削減した結果、前期比で3500億円以上の削減となりました。(具体的には世界各地の工場の統廃合、生産ラインの集約などを行っています)
③米国市場での好調な業績
コロナ禍からの回復に伴う経済活動再開や半導体不足による新車供給量の減少により、米国市場での新車販売が好調に推移しました。また、新車種投入により値引き販売を抑えた事も業績拡大に貢献しました。
④まとめ
今回の業績回復の要因を一言で表すと「量から質への転換」になると思います。規模の拡大をやめ、投入する車種を絞り、主戦場とする市場を選別した結果、収益性が大幅に改善しました。来期は金融事業を除いた自動車事業単体での黒字化を見込んでおり、業績は急速に改善する見通しです。
- 売上高は10兆円(前期比+18.7%)を見込む
- 会社予想では営業利益は前期並の2,500億円、当期純利益は前期比-650億円の1,500億円
- 供給制約の懸念があるが、生産が順調にいけば、売上原価の増加をこなし、大幅な増益となる可能性あり
2023年3月期の業績見通し

過去4期の業績推移と2023年3月期の会社予想は上表の通りです。
2021年3月期までの2期連続赤字から脱却し、2022年3月期は大幅な黒字転換となっています。2023年3月期は売上高も久々に10兆円の大台を見込んでおり、業績は確実に改善しています。
2023年3月期に2,500億円程度の原材料費・物流費増を見込んでいる事が影響し、会社予想では利益率が低下していますが、車両単価の改善や固定費削減の効果が続けば利益率は上振れする可能性が高く、営業利益率3%(営業利益3,000億円)も十分達成可能だと思われます。
また、会社の予想為替レートは1ドル=120円であり、現在の円安基調が続けば為替差益も利益上振れ要因として見込めます。
- 2022年3月で株価は底を打ち、上昇トレンドへ突入か
- 2019年月期並の純利益(約3,000億円)まで回復すれば、株価は800円をうかがう展開に
株価の動向(2022年5月末現在)
株価は2022年に入り、1/13に年初来高値650円をつけた後は下落基調を強め、3/9に年初来安値436円をつけた後は500円近辺での推移が続いています。
円安が急速に進んでいる事から株価は底堅く、他の業種に比べて堅調に推移していますが、今後の世界経済への後退懸念から続伸には材料不足の状況です。株価の上昇には業績面の改善発表が必要であり、4半期決算の進捗が待たれるところです。
株価はロシアのウクライナ侵攻の影響で3月に大底をつけましたが、その後は円安進行による業績改善期待から上昇基調にあります。今後、サプライチェーンの供給制約も徐々に解消に向かう見込みであり、生産が上向けば上昇スピードを強める可能性が高いと思われます。
現状の株価水準(5/31終値:500円、予想EPS:38.32円、予想PER:13倍)は2023年3月期の純利益1,500億円(会社予想)を前提にしており、会社予想がかなり保守的な色合いが強い事を勘案すると上振れする可能性が高いと思われます。
2023年3月期の純利益が前期並の2,155億円だと仮定すると予想EPSは55.07円、赤字転落前の2019年3月期の純利益3,191億円だと仮定すると予想EPSは81.52円となり、予想PER10倍でも株価815円となります。
懸念材料は①サプライチェーンの供給制約、②原材料・物流費増、だと思われますが、生産が軌道に乗れば近年の収益改善状況や円安による為替差益等を勘案すると、2019年3月期並の純利益3,000億円も十分視野に入る状況です。
2022年度は米国FRBの金利引上により株式市場には逆風が吹き荒れる見通しですが、個別銘柄としての日産は十分に投資魅力のある銘柄と言えるでしょう。